辻村深月「かがみの孤城」読んだ感想

読みました!2年くらい前?にとっても話題だったかがみの孤城!
本屋さん大賞だし、辻村深月だし、評判も凄く良いしで楽しみだった本

最高でした
最初から最後の1ページまでずっと良い!

辻村深月の本は、本日は大安なりとスロウハイツの神様が好きです

冷たい校舎の時は止まるも最後まで読みましたが、長いよー!って思いながら読み切りました
そしてタイトル忘れましたが、何か読んでストーリーが進まないのが辛くて挫折した私ですが、かがみの孤城は一気読みでした
鏡の世界と現実世界での物語と謎解き、どれもページを追うごとにちゃんと進んでいくし、気になるからあっという間に読めました

最後に爽やかさをくれる小説って良いですよね
冷たい校舎の時は止まるの方は、内容あまり覚えてないけど、読後感が昔夏休みに映画館でやってた学校の怪談に似てるなぁって思いました



↑これね
夏休みの学校で、クラスに馴染めない子やガキ大将系、不登校の子等色んなタイプの子たちがお化け溢れる学校に閉じ込められる怪談映画なんだけど、全て解決した翌朝、「うち来る?」みたいに、怪談事件に巻き込まれる前よりなんだかちょっと仲良くなってるのね
その雰囲気が凄く好きで、何度見ても爽やかな気持ちになる

冷たい校舎の時は止まるでも、似てるなぁって思ったんだけど、かがみの孤城はもっともっと読後に爽やかな気持ちにさせてくれる小説でした
また、クライマックスに向けて先が気になるのに、作中の登場人物が愛すべきキャラクターばかりだから、道中も楽しい

途中で気づく伏線や仕掛けは幾つかあると思うけど、全部は見つけられないんじゃないかなって位、要素盛りだくさんの一冊!

人に薦めたい本って色々あるけど、人にプレゼントしたい本ってあまり多くはないんですよね
でもそんな中、かがみの孤城は人に贈りたい本だなって思いました
虐めが主題みたいな雰囲気あるけど、辛い今を乗り越えた先には素敵な未来が待っているんだよって意味合いを込めて人に贈っても良い本だと思いました
あと純粋に面白いし

結婚する友人に「本日は大安なり」を贈る私ですが、この本は”勝手に人に贈っちゃおう本”2冊目です
著書を読破してるわけでもないのに人に贈りたい本は辻村深月の本が2冊(笑)

かがみの孤城は伏線やら仕掛けが沢山あって、読み終わった後に他の人は何に気づいて何に気づかなかったのかな?とかいろいろ気になると思ったので、今回は仕掛け中心の感想文です


てことで読んでない人は読んで損なしだよ!




↑文庫版も発売されましたね!





以下、ネタバレ込みの感想です









かがみの孤城って仕掛けが沢山ありましたね

自分が気づいたものと気づけなかったものをつらつら書いてみます


まず作中で登場人物たちが中々気づかなくて、でも読者は早い段階で気づいていたであろう各人の生きる時代が違う点は、敢えて分かり易く書いて読者にクライマックスまでの道中を楽しませる為の仕掛けだったのかなぁって思いました
ほら!こんな事言ってる!やっぱり時代が違うんだよーなんて思いながら読み進められる快感

私はマサムネがまだ発売前のゲームをモニターとして持っているんだ的な事を言った際に、

嘘だw

と思い、その嘘をゲームが好きだと言うこころが気づけない辺りで、マサムネはこころより未来の時間にいるかもしれないって想像しました
ここで想像しちゃったから、他のみんなも時間が違うんだろうなって前提で読んでいたので、
ゲームの間でスバルが音楽プレーヤーを鞄に入れた状態でイヤホンだけ伸ばして音楽を聴いているシーンで、
あ、これカセットテープなんじゃない!?ってことはスバルは過去の人だ!←ここでマサムネのゲーム以上に確信みたいに思って楽しんでた
アキが学校の制服を着て来た場面が答え合わせみたいな感じだったのかな?

ただ、マサムネがパラレルワールド説を出して、→あ、確かにそれでもいけるわって思ったんですけど、時代の違いと同じくらい早い段階で予想していたのが「アキ=喜多嶋先生」だったので、パラレルワールドでもいけるけど時代が違うんでしょ!と、最後までぶれずに読んでいました
せっかく外の世界で共通の人間、喜多嶋先生って存在が居るのに、パラレルワールドだから居るっちゃいるよ←じゃ、勿体ないし!とか読む合間に色々考えてた

どうしてアキが喜多嶋先生だと思ったのか、どこで感じたのか、ここです!って所はないんだけど、時代が違うと思いながら読んでいたからきっと最初に出てきた喜多嶋先生は孤城の誰か→というかこころが会ってるからアキかフウカのどっちかなんだけど…

描写かな?アキがしっかり者みたいに最初書かれていて、序盤の喜多嶋先生の印象が重なったか
みんなが同じ中学だと判明した時点で、喜多川先生=アキはもう確信みたいな気持ちでいたけど、別にその時点ではフウカであっても良かったのに、何故かずっとアキが喜多嶋先生って思って読んでいました

ただ思い違いしていたのは、喜多嶋先生は孤城の記憶を持ったままこころに接していると思ってました
てっきり願いは叶えずに孤城を出ているんだと思ってたので

だからエピローグの、腕に強い、痛みの感触が残っている。それは、誰かに強く腕を引かれる記憶だ。
私をここに繋ぎとめ、大人にしてくれた子たちがいる。忘れているはずなのに忘れていない記憶と痛みに導かれるように、未来で待っている仲間たちを救っていく姿に凄く感動しました

リオンとこころの話がエピローグみたいで凄く綺麗な終わり方だったから、あらら喜多嶋先生は無いのかな?なんて思っていたら次のページで「その子が部屋に入って来たとき―、とうとう、その時が来た、と思った。」で、喜んで、読んで、感動して、終わり方が更に爽やかで最後の1ページまで最高!って印象に残る小説になりました

一番未来に生きているウレシノの記憶で、校門で皆を待っていた所にお母さんと一緒に喜多嶋先生が来たのも、ちゃんとみんなに会えたんだねってなんだか嬉しくなりますね

(みんな?…あ、あれ…スバル…まぁ一番年上だしプロフェッサーだしね…)
→ちなみに、スバルとマサムネがゲームの片付けをしているところの会話もすごく好き
「僕、なろうか」
「何に」
「”ゲーム作る人”」
これさらっと書かれていたけど熱いよね
「このゲーム作ったの、オレの友達ってちゃんと言えるように」

―勘弁してよ。隙無しかよ


最後まで気付けなかった点

オオカミさまの正体と、リオンとこころが同じ時代、鍵と部屋です
鍵の件は当の童話を知りませんでした
オオカミさまの正体の方は、リオンが呼びかけるまで全くわかりませんでした(笑)
怖がらせちゃって、ごめんね。←挙げてくとキリが無いけど、こういう時間を越えた繋がりや伏線染みたものって興奮するよね

細かいやつを言うと、イケメンをなにそれ悪口?って聞くスバルが過去の人って分かっていたのに、今でも「あいつイケメンだし」に対して「なにそれ悪口?(笑)」って会話が普通に成立しそうだから全然気づかなかった
イケメンって言葉自体知らなかったから素の反応だったんだね


もしかしたら、童話を知ってたらもっと楽しめたのかもしれません
「赤ずきんじゃない…オオカミさまは」のリオンのヒントにも全くピンとこなかったし
でも、鏡の破片から仲間たちの助けて!と、リオンのヒントの感じが本を読んでるのに映画を見ている様な感覚になってました
というか上で書いた学校の怪談で双子が鏡を通して助けて!って会話してるとこ思い出した

→同じように知ってる知らないの話をすると、それぞれの記憶をこころが覗き見る時に、スバルのA面B面ももしかしたら分からない世代いたんじゃないかな

リオンとこころが同じ時代の点に関しては、全員ばらばらの時代にいると勝手に思い込んでいて、それぞれに時代の差異を思わせる発言(駅前のマックやショッピングモール、ゲームの知識、喜多嶋先生への印象)があったけど、実はリオンに関してはあまりなかったよね?
住んでいる場所が唯一違うっていう事で、時代のギャップを感じさせる発言は無かった様な気がします
→というか、大抵こころ発信で時代の差異を感じていたから同じ時代に生きているリオン相手では、それが起きなかったっていうふうに考えても良いのかな

だから、私がエピローグだと思い込んだ、
「たとえば、夢見る時がある。転入生がやってくる。その子は、――」
って、プロローグの件が来たとき、素直にスゲーッ!!って思いました

そして善処してもらったリオンだけは、記憶が残っているんですよね

知っている気がする―って感覚だけで、「よぉ」なんていける???
ここは好きに想像してって所だと思うから、私はリオン記憶残ってる派です

じゃないとさ、リオンってイケメンなんだよ?

なんとなく、知ってる気がする、君の…君の名前は…って状況で「よぉ」って爽やかにいけちゃうリオン無敵すぎるでしょ

だから記憶もってる派でいきます

お姉ちゃんが善処してくれたんだよきっと

なんだか感動したとこ全部書いてたら既にまとまりがなくなっているのに更にごちゃごちゃになりそうだからここまで。


では、この本が好きな人、好きになる人が好きだと思う好き好き好き作品を紹介


学校の怪談
読後感を好きになった人、見てみて!冷たい校舎の時は止まるでもそうだったんだけど、なんか見終わった後の爽やかな感じが似てるから!
2も3も面白いよ!
学校の怪談3 前田亜季
2、3には前田亜季も出演してるよ!


ラッシュライフ
色んな伏線が最後にシュッとまとまる快感を味わいたい方はこちら
伊坂幸太郎の小説はどれも最後にしゅっとまとまる気がするけど、それ系の中で私はラッシュライフが一番好きです


七回死んだ男
特殊な空間、超次元的な環境が絡むミステリが読みたい方はこれ!
何か面白い本ない?って質問には必ず七回死んだ男と答える私ですが、かがみの孤城のSF感とミステリの組み合わせが好きになった人は是非読んでほしいです
読み終わって感動して、本を閉じたときにまた感動できる素敵本です!